障害年金の原則と例外
障害年金の手続きは、注意するポイントが多く不安を感じがちです。このページでは、専門資料「障害年金 審査基準の原則と例外対比」をもとに、一般の方にも分かりやすい形で原則と例外を整理しました。 「どこを確認すればよいのか」をつかんで、安心して準備を進めていただくためのガイドです。
1. 申請書類の基本ルール
障害年金は「診断書が新しいこと」「必要な書式をそろえること」が基本です。まずは診断書の有効期限を押さえておきましょう。
診断書の現症日
原則
- 提出する診断書は、提出日から遡って3か月以内の現症日であることが基本です。
- 受診から時間が空いてしまった場合は、最新の状態が分かるよう必ず再受診して記載内容を更新します。
例外・補足
- 障害状態確認届(定期提出)や額改定請求でも、3か月以内の診断書が有効です。
- 以前は「1か月以内」でしたが、現在は3か月に緩和されています。3か月を超える場合は書き直しが必要です。
| 区分 | 請求区分 | 必要となる診断書の時点 | 実例・例外・補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 障害認定日請求(本来請求) | 障害認定日から3か月以内の現症を記した診断書。 |
【実例】初診日:2020年4月10日 → 認定日:2021年10月10日。2021年10月10日~2022年1月10日の間に受診した診断書が有効。 【例外】認定日から1年以上経過して請求する遡及請求では、当時の診断書が取れない場合に請求日前3か月以内の診断書も併せて求められることがあります。 |
| 2 | 20歳前障害 | 20歳到達日(誕生日の前日)前後3か月以内の現症を記した診断書。 |
【実例】誕生日:2005年8月5日 → 20歳到達日:2025年8月4日。2025年5月4日~11月4日までの診断書が有効。 【例外】20歳時に受診していなかった場合は、請求日前3か月以内の診断書による事後重症請求として扱われます。 |
| 3 | 事後重症請求 | 請求日前3か月以内の現症を記した診断書。 |
【実例】障害認定日時点では等級に該当せず、その後悪化したため2025年10月に請求する場合、2025年7月以降の診断書が対象。 【例外】障害が急変した場合でも、直近3か月を超える診断書は原則受理されないため、再受診が推奨されます。 |
| 4 | 初めて2級該当 | 請求日前3か月以内の現症を記した診断書。 |
【実例】既に3級を受給している方が2025年9月に額改定請求を行う場合、2025年6月以降の診断書が必要。 【例外】再認定時期と重なる場合は、再認定用の診断書を兼ねることができます。 【補足】65歳に達するまでに、初めて1級又は2級に該当する障害に該当していた場合は、65歳以降でも請求可能です。 |
診断書は「いまの状態」を示す唯一の公式資料です。提出前に記載内容と現症日をもう一度チェックしましょう。
初めて2級(65歳未満で該当)以外は、65歳以降は請求できません。(額改定請求においては例外があります。)
2. 初診日と納付要件を確認する
初診日(最初に医師の診療を受けた日)がいつかで、提出先や納付要件、遡れる期間が変わります。証明方法を整理しておきましょう。
初診日の証明(医証)
原則
初診日の医療機関で発行される「受診状況等証明書」などの医証を添付します。医師に依頼し、早めに準備しましょう。
例外・補足
- 医証が取れない場合でも、診察券や入院記録など客観的な資料を組み合わせると認められることがあります。
- 初診当時をよく知る看護師など医療従事者の証明は、医証と同等に扱われます。
- 20歳前の初診で厚生年金に加入していなければ、第三者証明のみで認められることがあります。
- 治療が必要と分かる健診結果が残っている場合は、その健診日を初診日として申立て可能です。
第三者証明の範囲
原則
第三者証明は、民法上の三親等以内の親族以外の方(友人・勤務先など)が記入します。
例外・補足
複数の証明がそろわなくても、医療関係者によるもので、診療の経過が具体的に記されているなど信頼性が高い内容なら、1通でも認められることがあります。
日付を特定できないとき
原則
資料で年月まで分かるが日付が特定できない場合は、その月の最終日を初診日として扱います。
例外・補足
同じ月に別の年金制度(国民年金と厚生年金など)に加入していた場合は月末扱いができません。加入状況を確認し、追加資料を用意します。
診断が遅れがちな傷病(線維筋痛症など)
原則
障害の原因となる病気で最初に医師の診療を受けた日が初診日です。
例外・補足
- 発症直後に確定診断がなくても、当時のカルテで症状が確認できれば初診日と認められることがあります。
- 確定診断書に「初めて医師の診療を受けた日」が記載されていることが条件です。
- 受診が途切れていた期間がある場合は、その間の症状が続いていたことを申立書で説明します。
3. 障害認定日の考え方
障害認定日とは「この日以降は障害の程度が固定した」と判断される基準日です。特例の対象になるかどうかで手続きが変わります。
障害年金の受給権消滅時効は5年のため、請求が遅れても、障害認定日請求が認められれば、最大5年分遡って受給可能なため、可能な限り障害認定日請求に向けて準備を行います。(どうしても難しい場合は、事後重症請求を検討します。)
基本の認定日
原則
初診日から1年6か月を経過した日です。
例外・補足
1年6か月より前でも、症状が治療で改善せず固定した場合(治った日)が認定日になることがあります。
人工透析を受ける場合
原則
通常は初診日から1年6か月後が認定日です。
例外・補足
- 透析を始めてから3か月経過した日を認定日として請求できます(原則2級)。
- 1年6か月を過ぎてから透析を開始した場合は、透析開始日以降であればすぐに請求できます。
人工関節やペースメーカーなどを装着した場合
原則
手術を受けても、多くは1年6か月後が目安です。
例外・補足
人工骨頭・人工関節・心臓ペースメーカー・ICD・人工弁・心臓再同期療法機器・胸部大動脈人工血管などを装着した場合は、その手術日が認定日として扱われます。
切断・摘出など重い処置を受けた場合
原則
切断や喉頭全摘出でも、基本は1年6か月後を基準に検討します。
例外・補足
- 手足の切断・離断、喉頭全摘出は、その日が障害認定日となります。
- 障害手当金の場合は、創面が治癒した日が支給の目安です。
人工肛門・尿路変更術を受けた場合
原則
原則として1年6か月後に障害認定日を迎えます。
例外・補足
- 造設日または手術日から6か月を経過した日を認定日として請求できます。
- 新膀胱を造設した場合は、造設日が認定日になります。
脳血管障害の場合
原則
初診日から6か月未満では、症状が固定したとは見なされません。
例外・補足
6か月経過後に「これ以上の回復が難しい」と医師が判断した日を認定日として扱うことができます。
遷延性植物状態の場合
原則
診断基準の6項目を満たし、状態が固定しているかを確認します。
例外・補足
基準に該当した日から3か月以上同じ状態が続いた場合、その起算日から3か月を経過した日以後が認定日となります(原則1級)。
4. 診断書で確認したいポイント
診断書の内容は審査の土台です。作成された診断書の数字や記載の内容が、自分の症状や状況に合っているかを確認しましょう。
肢体障害の診断書
原則
関節可動域や筋力は、健側との比較に基づいて記載します。検査値に抜けがないかを確認しましょう。
例外・補足
両側に障害があるときは参考可動域を使い、筋力・巧緻性・速度・耐久性など総合的に評価されます。数字だけで判断されないよう、生活状況も伝えましょう。
精神障害の診断書(就労面)
原則
就労していることだけを理由に、日常生活能力が高いと判断されるわけではありません。仕事内容や援助の有無を具体的に書きます。
例外・補足
- 就労継続支援(A/B型)や障害者雇用など、支援付きの就労は1級・2級の可能性を検討します。
- 一般企業でも、単純反復作業や常時の支援が必要な場合は2級の可能性があります。
精神障害の診断書(療養・生活面)
原則
入院・在宅の区分や日常的な援助の状況を記載し、支援の必要性を明確にします。
例外・補足
- 独居でも、家族や福祉サービスの援助を受けている場合は、その内容を詳しく記すことで2級相当と判断されるケースがあります。
- 医師への気遣いで改善兆候と話したり、普段とは全く違う姿(診察前だけ入浴や洗髪、普段していない化粧等)で診察を受けるのでなく、ありのままの状態を伝えることが重要です。
5. 額改定請求(年金額の見直し)の目安
障害の状態が悪化したときは、受給している年金額を引き上げる「額改定請求」を検討します。
申し出できるタイミング
原則
等級が決まった日から1年を過ぎていなければ、額改定請求はできません。
例外・補足
著しい症状悪化(例:切断、人工関節の再置換など)がある場合や、障害の種類によっては、1年を待たずに請求できるケースがあります。
専門家が伴走しながら申請をサポートします
原則と例外を理解したうえで、どの資料をそろえるかを一緒に検討します。初回のお問い合わせは30分無料ですので、安心してご連絡ください。